トラウマ・PTSD・フラッシュバックの正体と回復の道
トラウマ治療に有効なボディーコネクトセラピーとEMDRとは
心と身体が反応してしまう理由
「もう終わったはずの出来事なのに、なぜ今も、心や身体が強く反応してしまうのだろう。」
そう感じているあなたへ。
それは弱さでも、気の持ちようでもありません。
トラウマは“記憶”ではなく、“身体の中”に残ることがあるのです。
このことを、臨床の最前線から伝えていたのが、精神科医であり、これまで2万人以上のトラウマ治療に携わってきたスペシャリストである精神科医、白川美代子先生でした。
「スペシャル・トラウマ」という白川先生のドキュメンタリー番組の中で語られていた内容は、どれも特別な人の話ではありません。
「なぜ、こんなにも反応してしまうのか」
その問いに、脳と身体の視点から、静かに、しかし確かな答えを示していました。
第1章|トラウマとは何か――記憶は「冷凍保存」される
PTSDの症状として紹介されていたのは、
・頭が真っ白になる
・突然、汗が噴き出す
・眠れなくなる
といった、ごく身近な反応でした。
これらは長いあいだ、
「気持ちが弱いから」
「いつまでも引きずっているから」
と誤解されがちでした。
けれど番組では、はっきりと語られていました。
それは、脳と身体が生き延びるために起こしている反応だと。
特に印象的だったのが、
トラウマ体験は、感情・身体感覚・記憶がセットのまま
「冷凍保存」されるという説明でした。
この言葉を聞いた瞬間、私は自分の著書『こころの氷はきっと溶ける』の中で書いた一節を思い出しました。
私は16歳の頃の自分を、「心の奥の氷の部屋に閉じ込めた」と表現しています。
当時は、比喩のつもりでした。
けれど「冷凍保存」という言葉を聞いたとき、
まさにそれだったのだと、深く腑に落ちたのです。
感じきれなかった恐怖、怒り、悲しみ。
それらは消えたのではなく、凍ったまま、時間を止めた状態で残っていた。
だからこそ、何年経っても、身体は突然「あの時」に引き戻されてしまう。
それは異常ではなく、むしろ自然な反応だったのです。
第2章|「今」の感情は、どこから来ているのか
白川先生の臨床で印象的だったのは、今あふれている感情を、すぐに「今の出来事」だけで説明しない姿勢でした。
強い怒りや悲しみがあると、私たちはつい、
「この人のせい」
「この状況のせい」
と原因を現在に求めてしまいます。
けれど、感情には時間の層があります。
今の出来事は、過去の感情を呼び起こす「引き金」に過ぎないことも少なくありません。
「この感情は、最初はいつ感じたものだろう?」
そう問い直すことで、長いあいだ置き去りにされてきた感情の震源地が、少しずつ見えてくることがあります。
感情は、問題ではありません。
それは、声を上げられなかった心からのメッセージなのです。
【事例】今の怒りは、どこから来ているのか
ある人は、最近、身近な人とのやり取りの中で、自分でも驚くほど強い怒りが湧き上がることに戸惑っていました。
相手が明らかにひどいことをしたわけではありません。
それでも、何気ない言葉や態度に、胸の奥から怒りが湧いてきて、身体が一気に緊張してしまう。
「どうして、こんなに反応してしまうのだろう」
「この怒りは、抑えるべきなのだろうか」
そう考えれば考えるほど、自分を責める気持ちが強くなっていきました。
そこで、その怒りを“今の出来事だけの問題”として捉えるのを、いったん脇に置いてみました。
すると、ずっと昔、本当は「嫌だ」「やめてほしい」と感じていたのに、それを口にすることができなかった体験や、
怖さや混乱の中で、自分の感覚を押し殺すしかなかった記憶が、断片的に浮かび上がってきたのです。
当時は、その場をやり過ごすことで精一杯で、怒りや悲しみを感じきる余裕はありませんでした。
その感情は解凍されることなく、心の奥に凍ったまま残っていたのかもしれません。
今、目の前に現れている怒りは、必ずしも「今の相手」そのものに向けられたものではない。
それは、過去に置き去りにされた感情が、ようやく声を上げ始めたサインだったのです。
この視点を持てたとき、怒りは抑え込むべきものではなく、 理解すべきメッセージとして扱えるようになっていきました。
第3章|「No」を自分に許せたとき、回復は動き出す
トラウマを抱える方の多くが、過去に「嫌だ」「やめてほしい」と言えなかった体験を持っています。
上下関係、立場の差、空気を壊すことへの恐れ。
そうした状況の中で、人は自分の感覚を押し殺して生き延びます。
こうした力関係は、性暴力加害の約8割が「顔見知り」の犯行であることからもうかがえます。
臨床の中で、私が強く実感していることがあります。
それは、クライアントさんが
「私はNoと言ってよかった」
「Noと言ってもいい存在なんだ」
と、自分自身に許可を与えられた瞬間、回復のスピードが一気に早まるということです。
頭で理解するだけでは足りません。
身体が、「もう我慢しなくていい」と納得したとき、止まっていた時間が、再び動き出します。
第4章|二次被害――言葉が人を沈黙させるとき
トラウマを深めるのは、出来事そのものだけではありません。
その後に浴びせられる言葉――
二次被害が、回復を大きく妨げます。
多くの性暴力被害者が、この二次被害で何重にも苦しみ、二次被害がトラウマの回復を困難にしています。
「もっと前向きになったら?」「そろそろ忘れたら?」「あなたも悪いところがあったんじゃない?」
言ったほうは善意なのかもしれません。
ただこの一言が大きな二次被害となって被害者を追い詰めていくのです。
私自身、被害直後に母から言われた
「あなたが目立つから」
という言葉を、今でもはっきり覚えています。
さらに5年後、
パートナーから言われた
「そんな昔のことで」
という一言が、私の心を完全に閉ざしました。
「もう、誰にも話してはいけない」
そう思い込み、私は沈黙を選びました。
善意のつもりの言葉が、人をさらに孤立させてしまうことがある。
それは、決して珍しいことではありません。
第5章|ACEは連鎖する――再演という現象
ACE(逆境的小児期体験)は、
18歳までに経験する虐待やネグレクト、家庭内の不安定さなどを指します。
次のような経験です。
・身体的虐待
・心理的虐待
・性的虐待
・身体的ネグレクト
・心理的ネグレクト
・親との離別
・家族のアルコールや薬物の乱用
・家族の精神疾患や自殺
・家族の服役
以上の中の4つ以上経験した人は、経験していない人に比べて、次のようなリスクがあるという研究結果があります。
・ガン 1.9倍
・脳卒中 2.4倍
・アルコール依存 7.4倍
・薬物注射 10.3倍
・自殺未遂 12.2倍
このような危険性があることから、早期の治療・回復が必須なのです。
また、ACEの大きな特徴の一つは、 連鎖しやすいことです。
トラウマには「再演」と呼ばれる現象があります。
過去に受けた体験を、無意識のうちに人間関係や生き方の中で繰り返してしまうこと。
これは生き延びるために身につけた反応なのですが、そのため虐待の連鎖が起こることも多いのです。
ですから「痛み」を次世代に受け継がせないためにも、トラウマから回復することが重要なのです。
第6章|ボディーコネクトセラピー――身体から「今」を取り戻す
番組も紹介されていた「ボディーコネクトセラピー」。
トントンと身体の一部をを刺激しながら、今この瞬間の安全を、 身体そのものに伝えていく方法です。
「もう終わった」
「今は安全」
この短い言葉を、頭ではなく、身体に向けて届けていく。
「しっかり感じきると、過去になる」
この言葉は、臨床の中でも確かな実感として存在しています。
冷凍保存されていた記憶が、少しずつ「過去の出来事」として再整理されていきます。
第7章|EMDR――専門家と行う、記憶の再処理
EMDRは、「思い出さなくていい治療」ではありません。
フラッシュバックの場面を意図的に浮かび上がらせ、記憶がこれ以上暴走しないよう 再処理する作業です。
だからこそ、EMDRは必ず専門家のもとで行う必要があります。
臨床の中で特に効果を感じるのは、同じ場面が何度も浮かび上がる方です。
また、EMDRによって湧き上がる感情に、「これはもう終わった出来事だ」と意味づけを変化させることも可能です。
第8章|変わらぬ態度が、人を回復させる
白川先生は、母親に打ち明けたとき、
「どんなあなたでも私は大切」
と言ってもらえたこと、
そしてその後も変わらぬ態度で接してもらえたことが、回復を助けたと語っていました。
私自身も、被害後、親友が腫物を扱うようにでもなく、特別視するでもなく、 いつも通り接してくれたことに、何度も救われました。
理解しようとする人が一人いる。それだけで、人は回復の道を歩き出せるのです。
人は誰しもが何らかの「傷」を抱えています。
その「傷」が「私」を作っているとも言えます。
トラウマ体験は特別な人だけに起こるのではなく、誰にでも起こりうるものだという認識を持つこと。
それから傷を受けている人が目の前にいたら、その人の行動の背後に何があるのかに思いを馳せること。
「そんなこと」だけで終わらせない、優しさを持って接することが、トラウマを受けた方の癒しになると思います。
終章|こころケアWithでできること
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もし今、「これ、私のことかもしれない」そう感じる部分があったなら、あなたの心と身体が「回復」を求めている兆しです。
トラウマの反応には、理由があります。
そして、回復には 、一人で頑張らなくていい道があります。
こころケアWithでは、ボディーコネクトセラピーやEMDRなど、無理に語らせることなく、安全を最優先にしたサポートを行っています。
「話すほどでもないかもしれない」
「まだ迷っている」
そんな状態でも大丈夫です。
あなたのペースで、一歩ずつ。必要だと感じたときに、いつでもご相談ください。
【公式LINEお友達特典】
・「心のダメージ度チェックリスト」
・最新コラムのお知らせ
・お得な無料イベントや心理学講座へのご招待
・希望者には小冊子「不登校を解決する7つのコツ」をプレゼント
・予約フォームから簡単予約
Contact
お問い合わせ
ご入力の上、次へボタンをクリックしてください。
Access
こころケアWith
| 住所 | 〒561-0872 大阪府豊中市寺内1丁目11-21 第3ヴィラベール102 Google MAPで確認 |
|---|---|
| 電話番号 |
080-4039-0912 |
| 営業時間 | 10:00~19:00 日曜日はワークショップや心理学教室などを開催しているので個人セッションお受けできない場合もあります。 |
| 定休日 | 木曜日 |
| 代表者名 | 井上 倫生 |
| サービス内容 | 昼はカウンセリングやコーチング、夕方からは脳育教室、出張やオンラインカウンセリングも有 心理学教室やワークショップも開催してます。 |
Related
関連記事
-
2024.11.30PTSDを克服するための支援方法と効果的なアプローチ
-
2025.06.04心が軽くなる魔法、知りたくない?~トラウマに効く”脳と心の心理学”NLP
-
2025.09.03DNAに刻まれたトラウマを、私の代で解放するということ
-
2025.09.27記憶という海の中で:トラウマは消せるのか?
-
2024.06.23トラウマ解消カウンセリングを実施 | 大阪府豊中市のカウンセリングならこころケアWith
-
2025.11.27なぜ私たちは、傷ついても自分を責めるのか|豊中市のカウンセリングなら「こころケアWith」
-
2025.12.15日米性暴力サバイバー対談第2弾!「回復のリアル」|豊中市のカウンセリングなら「こころケアWith」
-
2026.01.25PTSDだけでは語れないトラウマの後遺症|豊中市のカウンセリングなら「こころケアWith」
-
2026.03.23今注目されている「言語化」の効果と危険|豊中市のカウンセリングなら「こころケアWith」