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トラウマ後に不安や緊張が消えない理由
―ストレス状態を和らげる方法―

なぜか安心できないあなたへ


はじめに


「もう安全なはずなのに、なぜこんなに苦しいの?」


「もう終わったことなのに、なぜこんなに苦しいんだろう」

頭では分かっている。
もう、あの場所にはいない。
もう、加害者もいない。
今は安全なはず。


なのに、

・夜になると不安になる
・人の顔色ばかり気になる
・些細な音にビクッとする
・安心すると逆に落ち着かない
・急に涙が出る
・突然、苦しくなる


そんな自分を見て、

「自分はおかしいのかもしれない」
「壊れてしまったのかもしれない」

そう感じてしまう人も少なくありません。


でも、それは「おかしい」のでも、「弱い」のでもありません。

トラウマを受けた脳と身体が、ずっと“命を守ろう”としている反応なのです。


今日は、トラウマ後に身体の中で何が起きているのか。
そして、なぜ安心できなくなるのか。

私自身の経験や、クライアントさんの事例も交えながら、お話したいと思います。



第一章 脳と身体は、危険が去っても戦い続ける


① ストレスホルモンは「命を守るため」のもの


人は強い恐怖やストレスを感じると、身体の中でストレスホルモンが分泌されます。

代表的なのが、

・コルチゾール
・アドレナリン

です。


例えば、急に車が飛び出してきた時。

心臓がドキドキする。
呼吸が速くなる。
身体に力が入る。


これは脳が、

「危険だ!逃げろ!戦え!」

と判断しているから。

本来これは、とても正常な反応です。


問題は、危険が終わったあとも、この反応が止まらなくなること。


虐待、性被害、モラハラ、DV、いじめ。

特に、“逃げ場のない恐怖”を長期間経験すると、脳は「常に危険が来るかもしれない」と学習してしまいます。


すると、何も起きていない日常でも、身体だけが戦闘モードのままになるのです。

まるで、火事が終わったあとも、火災報知器だけが鳴り続けているように。


② 私も、ずっと安心が分からなかった


私自身、16歳の時に性被害を受けてから、長い間、身体が休まりませんでした。

誰かといても緊張する。
夜になると不安になる。
人の言葉を深読みしてしまう。
突然涙が出る。


いつもどこかで、

「また傷つくかもしれない」

と思っていました。


でも当時の私は、自分が弱っているとは思っていませんでした。

むしろ、

「もっと頑張らなきゃ」
「ちゃんとしなきゃ」

と、自分を追い立てていました。


今思えば、ずっと戦闘モードだったのだと思います。


トラウマを抱えた人は、「傷ついた人」に見えないことがあります。

むしろ、

・頑張り続けてきた人
・気を遣い続けてきた人
・耐え続けてきた人

そんな人ほど、身体が“休み方”を忘れてしまうことがあるのです。


③ 「門番」が壊れると、脳は休めなくなる


ここで大切なのが、「視床下部」の働きです。


視床下部は、簡単にいうと、

脳の門番

のような役割をしています。


私たちは普段、膨大な情報の中で生きています。

音。
光。
人の声。
匂い。
景色。

もしそれを全部取り込んでいたら、脳はパンクしてしまいます。


だから門番が、

「これは必要」
「これは今はいらない」

と、情報を選別しているのです。


例えば、賑やかな居酒屋に行った時。

周りの席の会話って、普通はほとんど耳に入ってきませんよね。

でも、自分の名前が聞こえた瞬間だけ、

「えっ?」

と反応する。

それは、“自分に必要な情報”だけを門番が通しているからです。


ところが、トラウマ後の脳は、この門番の働きが弱くなることがあります。

すると、

・物音
・表情
・空気感
・匂い
・足音

そんな些細な刺激まで、全部「危険かもしれない」と脳に入れてしまう。

だから、直接トラウマに関係ない場面でも、身体が強く反応してしまうのです。



第二章 なぜ些細なことで苦しくなるのか


① フラッシュバックやパニックは「気のせい」ではない


トラウマを抱えた人の中には、

「突然苦しくなる」
「急に怖くなる」
「身体が勝手に反応する」

そんな経験をする人がいます。

でも、それは“気のせい”ではありません。

脳が、過去の危険を「今起きていること」だと勘違いしているのです。


例えば、

・怒鳴り声
・ドアの音
・男性の足音
・特定の匂い

そんなものが引き金になって、身体が一瞬で戦闘モードになることがあります。

すると、

・動悸
・息苦しさ
・震え
・吐き気
・パニック

などが起きる。

これは「考えすぎ」ではなく、神経の反応なのです。


② 幼少期虐待を受けたクライアントさんの話


あるクライアントさんは、幼少期、父親がいつも怒鳴っている家庭で育ちました。

家の中には、常に緊張感がありました。

「いつ怒られるんだろう」

そう思いながら、毎日ビクビクしていたそうです。


大人になったあとも、人が急に、

「あっ!」

と大きな声を出しただけで、身体がビクッとする。

心臓がドキドキする。

頭では、

「怒られているわけじゃない」

と分かっている。

でも身体が、先に反応してしまうのです。


これは、身体が長年、

「大きな声=危険」

と学習してきたから。

つまり、身体が今も、その人を守ろうとしているのです。


③ 「幸せになると不安になる」理由


実は、トラウマを抱えた人ほど、

「安心すると不安になる」

ことがあります。


なぜなら、安心を知らずに育った人にとって、“安心”そのものが未知だから


例えば、

・優しくされると怖い
・平和な時間が続くと落ち着かない
・幸せになると「また壊れる気がする」

そんな感覚を持つ人もいます。


これは性格の問題ではありません


神経が、

「安心=危険が来る前触れ」

だと勘違いしていることがあるからです。


だから回復には、

「安心しても大丈夫なんだ」

を、少しずつ身体に教え直していく必要があるのです。

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第三章 回復の第一歩は「安心」を増やすこと


① トラウマを抱えた身体に必要なのは「戦い」ではなく安心


トラウマを抱えた人は、とても頑張り屋さんです。

だから、

「変わらなきゃ」
「克服しなきゃ」
「早く治さなきゃ」

と、自分を追い込みやすい。


でも、ずっと緊張してきた神経に必要なのは、“さらに頑張ること”ではありません。

必要なのは、安心です


例えば、

・温かい飲み物を飲む
・好きな香りを嗅ぐ
・自然の中を歩く
・深呼吸する
・ぼーっと空を見る
・安心できる人と話す


そんな小さなことでも、神経は少しずつ、

「今は安全かもしれない」

を学び始めます。


② マインドフルネスやアロマが効果的な理由


最近は、マインドフルネスやアロマテラピーが注目されています。

それは単なる“癒し”ではありません。

「今ここ」の安心感を、身体に感じさせる働きがあるからです。


特に呼吸は、とても大切。

不安が強い時、人は呼吸が浅くなります。

だから、

「吸う」より、「吐く」。

ゆっくり吐くことで、神経は少しずつ落ち着いていきます。


また、香りは脳へ直接働きかけるため、安心感を与えやすいと言われています。

だから、

「この香りを嗅ぐと落ち着く」

というものを持っておくのも、とても大切です。


③ 回復は、人との関係の中で起きていく


トラウマは、人によって傷つくことが多い。

でも実は、回復もまた、人との関係の中で起きていきます。

否定しない人。
急かさない人。
安心して話せる人。

そんな存在に出会うことで、凍りついていた神経が、少しずつ緩んでいくことがあります。


もし今、

「ずっと気が張ってしまう」
「安心できない」
「苦しいのに理由が分からない」

そんな状態が続いているなら。

それは、あなたがおかしいわけでも、壊れているわけでもありません。

あなたの身体が、ずっと命を守ろうとしてきた。

ただ、それだけなのです。


おわりに


一人で抱え込まなくて大丈夫

トラウマは、「気合い」で乗り越えるものではありません。

安心を、少しずつ身体に教えていくこと。

それが回復への第一歩です。

もしあなたが今、

・生きづらさを感じている
・いつも緊張してしまう
・人間関係が怖い
・理由の分からない不安がある

そんな苦しさを抱えているなら、一人で抱え込まなくて大丈夫です。


「こころケアWith」では、カウンセリングや心理学を通して、安心できる心と身体を少しずつ取り戻していくサポートを行っています。

あなたのペースで大丈夫。

凍っていた心が、春の光を思い出していけるように。

必要な時は、いつでもご相談ください。

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